深夜、ふと喉の渇きを覚えて目を覚ました。静まり返った家の中を歩き、リビングの明かりをつける。その時、どこからか「チョロチョロ…」という微かな、しかし聞き慣れない水の音が耳に届いた。音の出どころを探してたどり着いたのは、トイレのドアの前。嫌な予感を覚えながらドアノブに手をかけ、ゆっくりと開けた瞬間、私の思考は完全に停止した。加西市の排水口交換した水漏れ修理から目に飛び込んできたのは、床一面に広がった水たまり。トイレの便器の根本から、絶え間なく水が溢れ出し、まるで小さな泉のようになっていたのだ。足元は一瞬でびしょ濡れになり、冷たい水がじわじわと廊下へと浸食を始めていた。 パニックとは、まさにこのことを言うのだろう。頭の中は真っ白で、「どうしよう」という言葉だけが虚しく響き渡る。まずはこの水の流れを止めなければ。しかし、どうやって?その時、以前どこかで読んだ「トラブルが起きたらまず止水栓を」という記事の一文が、奇跡的に頭の片隅から蘇った。台所専門チームで配管の臭いを鎌倉市から、恥ずかしながら私は、自宅のトイレの止水栓がどこにあるのか、正確には知らなかった。慌ててトイレの壁や便器の周りを見渡すと、壁から伸びた給水管の途中に、マイナスドライバーで回せそうな溝の入った突起があるのを発見した。これが止水栓か!私は工具箱からドライバーを取り出し、祈るような気持ちでそれを時計回りに固く、固く回した。すると、あれほど勢いよく溢れ出ていた水の流れが、徐々に弱まり、やがて完全に止まった。この時の安堵感は、今でも忘れられない。それから、家中のバスタオルと雑巾を総動員して、床の水を拭き取るという過酷な肉体労働が始まった。 水が止まり、床もあらかた拭き終えると、ようやく冷静さを取り戻すことができた。私は改めて便器の周りを観察してみた。水は、床と便器の接地面からではなく、タンクと給水管をつなぐホースの接続部分から漏れていたようだった。ナットが緩んでいるのかと思い、手で触れてみたが、しっかりと締まっている。内部のパッキンか、あるいはタンク内の部品の故障か。素人判断でいじり回して、さらに事態を悪化させることだけは避けたかった。私は、潔くプロに助けを求めることを決意した。深夜にも対応してくれる業者をインターネットで数社探し、料金体系が明確で、口コミの評判も悪くないところに電話をかけた。電話口で状況を説明すると、オペレーターは落ち着いた口調で対応してくれ、「おおよその到着時間」と「作業前に必ず見積もりを提示すること」を約束してくれた。その言葉に、少しだけ心が軽くなった。 約一時間後、到着した作業員の方は、手際よく状況を確認し、すぐに原因を特定してくれた。やはり、給水ホースとタンクを接続している部分の内部にあるゴムパッキンが、経年劣化で硬化し、ひび割れてしまったのが原因だった。長年の水圧に耐え切れず、ついに限界を超えてしまったのだろうとのことだった。新しいパッキンへの交換作業は、ほんの15分ほどで終了した。再び止水栓を開けると、もう水は一滴も漏れてこない。当たり前の光景が、これほどまでに尊く感じられたことはなかった。この悪夢のような一夜から、私は大きな教訓を得た。まず、自宅の水道の元栓や各箇所の止水栓の場所と締め方を、家族全員で把握しておくこと。次に、トイレの床や便器周りに不自然な湿り気がないか、日頃から気にかける習慣を持つこと。そして何より、パニックになっても、無理に自分で解決しようとせず、信頼できるプロを呼ぶ勇気を持つことだ。あの静かな夜に鳴り響いた水の音は、日常の平穏が、いかに多くの見えない部品と、日頃の小さな関心によって支えられているかを私に教えてくれた、痛い授業料だったのだ。